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■著:大森彌(おおもりわたる)さん■
大森彌先生のご存在を知ったのは、2005年に徳島県で、開催された「全国過疎問題シンポジウム」のパネルディスカッションにパネリストとして、ご一緒させて頂いたときだった。
もともとは、自称「脱・行政職員宣言!」のマッキーこと、中川哉(かなえ)さんが、大ファンで「え~っ、あの大森先生と、一緒にパネルディスカッション!すっご~い!!」と、驚いてもらったのだが、こと「アカデミック」な分野に弱い私としては、先生のお名前すら知らず、どこがどうして「すっご~い」のかわからなかった。
しかし、当日の基調講演での大森先生のお話、そしてパネルディスカッションでのトークなどを伺い、私も結局ファンになってしまったのだった。
ただ、「行政学」など、私にはまったく縁も興味も無い分野だったので、お人柄には惹かれたものの、先生のご著書の一冊も読むことは無かった。
しかし、偶然にもネット上で、見つけた先生の熊本市でのご講演録を拝見し、大いに感銘を受けてしまったのであった。
私は、マーケティング・プランナーだからか「これからの時代はどうなっていくのだろうか」と言うことが気になって気になってしょうがない。あれこれ、いろいろ考えるのだが、頭が悪いからよくわからない。
「そういう時は、頭の良い方のお考えを知るのが早道だ!」と、そう思い、ある時「大森先生は、どうお考えだろう」と、最新の著書を何でもいいから読ませてもらおうと思いついた。(そう、思いつくとこは、ちょっと頭がいいかもネ!)
アマゾンで調べたところ、最新の著書が、この「官のシステム」であった。
正直、私は「官のシステム」というものに、関心が無い。というか、
「都会」と「田舎」、「官」と「民」、「権力」と「無力」、「安定」と「不安定」、「リッチ」と「プア」と、ことごとく、私たちの究極の反対側に位置する世界のシステムである。
しかし、決めたことには、素直なたちであるので、速攻アマゾンで注文したのであった。
私が本を読むのは、出張時の移動時間くらいである。「官のシステム」も、新幹線の中で、読み始めたのだが、半分まで読んだところで、挫折した。っちゅうか、甘かった。
高校で習った「政経」程度の知識もなく(劣等生だったので)、行政用語も何も知らず、せいぜい「三権分立」くらいの言葉しか理解してない人間が、およそヒマつぶし的に読みこなせるような、ご本である筈がなかったのだ。
もちろん、日本語で書かれているわけだし、そのまま最後まで読み進むことは、物理的には可能だが、それではまったく意味が無い。
これは、きちんと机に向かい、わからない言葉はそのつど調べ、ちゃんと内容を咀嚼し、そして反芻し、きっちり「勉強」をする姿勢でないと、身につかないし、先生に対しても申し訳ない。
しかし、そのためには、集中できるまとまった時間が必要だ。まとまった時間が取れるのは、私には4月しかない。ということで、4月になるまで一旦「官のシステム」から離れることとなったのだ。
4月1日の日記より
(前略)
こういう時こそしなければならないのは【勉強】なのである。
出張時に、新幹線でスラスラとは読みにくいタイプの本を
ちゃんと机の上で読み、わからない言葉などをきちんと調べて、
ちゃんと反芻しながら頭の中に叩き込まなければならない様なタイプの本を
そういう本を読むべき時期である。(ちゅうか、こういう時で無いと読めんのよ)
ということで、昨年出張時に新幹線で半分くらい読んだけれど、
「私の能力と器量では、乗り物の中で時間つぶし的に読むには到底、読みこなせる本ではない!」
と、判断し、お蔵入りにしていた、大森彌先生の「官のシステム」を、初めから読み返すこととした。
その前に、新年度ということで、初心に帰るべく、大森彌先生の熊本でのご講演録
「地方自治の再編と改革~首長・議員・職員・住民に何が問われているか~」を読ませて頂く。
はじめて拝見した時に、大変感動をして、ことあるごとに読み返しているのだが、私たちの様な小さきものにも、元気と勇気を与えてくれるお話なのである。
このお話は、何度読んでも、せつなくて泣ける。
そして、また思いを新たに、本年度もがんばろう!と思わせてくれる。
NPOから身を引きたい、と時に迷うこともあるが、やはりNPOは必要なんだ!
と、思わせてくれる。
ありがとうございます。大森彌先生!!
さて、それでは「官のシステム」に再チャレンジ!
カワベマユミクンのおつむで、果たしてどこまで、理解できるかな???
(4月1日の日記より)
ということで、力を入れて読み上げた一冊である。
ふだんなら、3時間程度で読める分量だが、私の能力では、その内容を理解し、把握し、活用できるにいたるには、その5倍の15時間ぐらいかかったのである。
(能力無ければ、時間かければいいのよネ!)
おかげさまで、本当に勉強になった。
具体的な感想を書けば、原稿用紙100枚くらいになりそうなくらい、様々なことを学ばせて頂き、考えさせて頂いたのだが、ここで延々と素人がそれを述べても人様の役にはあまりたたない。
ということで、結論。
本当に読んで良かった。
曖昧模糊とした知識の塵や断片が、整然と体系だった様な気がする。
もやもやとした目の前の霧が、さーっと晴れたような感じである。
そして、見てしまった。知ってしまった。やっぱりそうだった。
私のようなイカレた人間にとっては、開けてはいけないパンドラの箱なのかもしれない。
そして私は、ますます大森先生が大好きになった。
こういうことを私が申し上げるのは、恐れ多いが、学問の無い私のような人間に、本来の「学問の真価」と「学者の本分」を教えてくださった。
ありがたいことだ。
大森先生は、本書の中で「読者に対するメッセージ」を書かれていらっしゃる。
この本を、偶然にも読んでしまった人間として、このメッセージは、真摯に受けとめなければならないと思う。
たとえ、小物であっても。
◎私のサイトをご覧くださる方で、まだ「官のシステム」を読まれた事のない方がいらっしゃったら、それは、読まれるに越したことは無いと思います。ただし、私程度の知識の方が読まれる場合は、集中して辞書引きながら、15時間はかかることを覚悟されてください。そして、一旦読まれたら、必ず最後まで読み通してください。そして、しっかりと、大森先生のメッセージを受け止めてください。ネ!
日時: 2007年04月11日 15:05
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